ヤッサのオジさんと、はんぺん
我が村にあった2つの店のうち1つは、ヤッサと呼ばれていた店で、日用品や食料品、駄菓子などを売
っていて村にはかかせない店舗だった。
私が幼い頃には店主のオジさんが、自らバイクで近隣の村を回り、豆腐や練り物、総菜やお菓子を売
っていた。
紺色の前掛けを付けて、カブの後ろに2段の箱を積んで走っていた姿が今でも思い出される。
オジさんが来ると婆ちゃんは財布をもって私を連れて行ってくれた。
婆ちゃんはいつも私にハンペンを買ってくれた。
だから今でもハンペンは大好物である。
この地方は魚の練り物を揚げたものの総称として「はんぺん」と呼ぶ。
これを、いわゆる薩摩揚げと同じだと他の地方の人が誤解することが多い。
白いはんぺんは「紀文のはんぺん」などとメーカー名などをつけて区別する。
オジさんが来た時の私のおやつはハンペンだった。
そのまま噛り付いても十分美味しいのだが、焼いて食べると、なおさら美味しくなる。
婆ちゃんは晩年、よく鍋を火にかけて忘れてしまい焦がすことが多かったので、火を使うのを母から
止められていた。
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