婆ちゃんのトウモロコシ
夏休みの思い出は、婆ちゃんが大鍋で茹でてくれたトウモロコシだ。
婆ちゃんが畑で栽培していた昔ながらのトウモロコシで、今のように均一の色ではなく様々な色の実
が不規則に並んでいて色でも楽しめた。
何時の頃からか、トウモロコシの品種と味が変わりだした。
あの昔のモチモチとしたトウモロコシが食べたくて仕方がない。
近所の年配者に訪ねてみたら、昔のトウモロコシが食べたいという人が結構いる。
いまも、ほんの一部で昔のトウモロコシを栽培して、通販で販売しているところも無くはないようだ
が、このままでは水っぽくて甘いだけのトウモロコシに完全に占領されてしまい、二度と食べられな
くなってしまう。
今のトウモロコシはF1(一代雑種)なので、種を残して翌年育てても、親と同じものが育つわけでは
ない。
婆ちゃんは来年に植える種の分は残しておいて、私もテレビを見ながらトウモロコシの種を実から取
る手伝いをした記憶がある。
私の味覚は子供のときに食べたトウモロコシの味。
縁日でしょうゆを塗って焼いた硬いやつの味。
婆ちゃんの畑で、もいできて食べたときの味。
そんな記憶が舌に残っているのであろう。
それに比べていまどきのトウモロコシは、歯ごたえがない、甘すぎる、何でも生で食えるというのを
売りにしているヤツもあるとか。
私の中で婆ちゃんのトウモロコシの味は不変なのである。
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